Excel 名前定義(6)名前定義を複雑な数式で使用する

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はじめに

前回の記事で、Excelの名前定義の本質は、数式に名前を付けることだと述べた。

名前定義はセル範囲に対し付けるものだという考えが一般的なのだろうが、私はその使い方はほとんどしない。
ということで今回は、私が多用する名前定義の使い方について述べていく。

例題

たとえば上図では、E2セルに、部門CD・商品CDごとに月別の金額を計算する

=SUMIFS(元データ!$H:$H,元データ!$A:$A,E$1,元データ!$B:$B,$A2,元データ!$F:$F,$C2)…式①
という複雑なSUMIFS式が入力してある。

このExcelファイルのダウンロードがしたければ、こちらからどうぞ。

式を真面目に読まなくて良いが、要するに複雑な式だということだ。
そしてこのE2セルの式を、縦に横にと広範囲にコピペしている。

さてSUMIFS式なんてのは、幾つでも条件指定を組み込めるわけだし、ああでもないこうでもないと何度も試行錯誤して式を作り替えていくのが当たり前だ。
それをしようともしない人は、Excelの成長は見込めないだろうね。

で、今回の集計表で、担当者ごとまで条件を追加して集計するよう式を変更する必要が出たとする。
もちろん私の実務でも、そんなのはしょっちゅうあることだ。

で、先述のSUMIFS式①を

=SUMIFS(元データ!$H:$H,元データ!$A:$A,G$1,元データ!$B:$B,$A2,元データ!$F:$F,$C2,元データ!$D:$D,集計!$E2)…式②
と書き換えることになるとする。

どこが変わったかって、細かいことはいいけど最後の青文字の部分ね。

で、この式の変更を、縦横の広範囲のセル全てに適用しなきゃいけないわけだ。
そんなの式をコピペすりゃいいだけだろうと思うだろうし実際そうなのだが、表が複雑な形だったりしたら、コピペも手間だ。

そして、どこかにコピペ漏れがあったりしたら、致命的なミスに繋がりかねない。

こういう場合は、最左上であるG2セルの式を1箇所変更しさえすれば、他の箇所の計算式も全部変わってくれるように仕込むものだ。
そして、それを可能にするのが名前定義なのだ。

この便利さが今ひとつ布教されていないように思えてならない。

計算式を名前定義に組み込む

=SUMIFS(元データ!$H:$H,元データ!$A:$A,G$1,元データ!$B:$B,$A2,元データ!$F:$F,$C2,元データ!$D:$D,集計!$E2)…式②

では、複雑な式②を、名前定義に組み込むことにする。

そしてそれに際しては、絶対参照・相対参照の完璧な理解が大前提だ。
名前定義に数式を定義する際は、絶対参照・相対参照を厳密に問われる。

もちろん式②も絶対参照・相対参照はきちんと考慮して組んであるが、それが出来ないようならまず絶対参照・相対参照の勉強を完璧にしておこう。

Excel 絶対参照・相対参照 SUMIF関数を題材にして語る

やり方は簡単というか、今回の式②に「合計式」という名前定義を設定し利用する方法を順に書いてみる。

  1. 今回基準となるG2セルを選択したままの状態で式②の文字をコピー
  2. 名前定義のショートカットキー<Ctrl + F3>から「新規作成」
  3. 「新しい名前」ウインドウが出てくるので「名前」欄に「合計式」と入れ、「参照範囲」欄には式②を貼り付ける。必ず「=」文字から始まる全ての式の文字を入れよう。
  4. 「OK」ボタンを押してから通常の画面に戻り、G2セルの式を消してからF3キーで「名前の貼り付け」を呼び出す。そして作成した名前定義「合計式」をダブルクリックすれば、G2セルに「=合計式」と式が入力される。
  5. 式「=合計式」を、縦横全てにコピペする。

これで、今後「合計式」のSUMIFS式を変更する必要が生じたとしても、<Ctrl + F3>の名前定義画面から「参照範囲」欄の式を1回書き換えるだけで、全ての該当セルの計算式が変わってくれる。

操作を動画にもしてみた。

今回のSUMIFS式なんかは、これ単独で見ても長ったらしくて、それを「合計式」という簡単な名前にできるという意味でも、名前定義が有効に働く。

名前定義のこういった活用方法を、ぜひともマスターしよう。

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